大学院情報生産システム研究科 2007年9月 入学式
研究科長 式辞
平澤 宏太郎 教授
みなさん、早稲田大学情報生産システム研究科への入学おめでとうございます。
みなさんは本大学院の第5期生ということになりますが、修士課程が87名、博士課程が22名、そのうち留学生が101名です。したがって、我々の大学院は博士課程と留学生の割合が非常に多いということが特徴のひとつになっています。
留学生が多いのは、早稲田大学が創立の時からそうであったように、我々の大学院もアジアで活躍する人材を育てるという事を大きな目標のひとつに掲げているからです。又、博士課程の学生が多いということは、我々の大学院が学部のない独立大学院であるということからも自明のことではありますが、産学連携も含めまして、研究活動を活性化し、世界に発信する研究・開発のCenter of Excellenceを目指しているからであります。
今回の入学式の特徴は、早稲田大学情報生産システム研究科と学術交流に関する覚書(Memorandum of Academic Exchange)を調印したアジアの多くの著名な大学から優秀な学生が多数入学してきていることです。しかし、中には日本語がまだよく分からない方もいるかと思います。そのような場合には、ぜひ担当の先生方と相談してください。多くの先生方が学生さんの語学のレベルに合わせて、日本語あるいは英語の授業を行うことになっています。
さて、みなさんは早稲田大学大学院情報生産システム研究科に入学されて、今、あれもやりたい、これもやりたいと希望に満ち溢れていることと思います。ぜひ初心を忘れずに頑張ってほしいと思います。
ところでみなさんにお願いしたい事を2、3述べてみたいと思います。
早稲田大学情報生産システム研究科は御存知のように学部のない独立大学院です。従って、ここでの教育は今までの小学校から学部までの教育とはまったく異なることをはじめに理解していただきたいということです。
小学校から学部までの教育は、基本的には今までに確立されてきた技術を教え、学生はそれを学ぶということが中心でした。極端な言い方をしますと、技術を理解し記憶すればよかった訳です。
大学院ではそうではありません。修得した技術をベースに、みずから考え、創造していく事が強く求められます。勿論、研究室の指導教員の大きな方針にそって研究・開発を進めていく訳ですが、具体的に考えるのはみなさんあなた方自身です。
ぜひ、早稲田大学に在籍する間に考える力、創造する力を身につけてほしいと思います。 これは、社会に出た時にまず要求される大事なことだと思います。
次に、今後ますます顕著になる技術変化のはげしい時代に対応していく能力を身につけていただきたいということです。
しかし、グローバル大競争時代に直面した最近の企業は様子ががらっと変わってきています。大学で修得した技術や研究開発を推進していく力に対して給料を支払うというスタンスになり、先輩達からの手取り足取りのきめ細かな指導も期待できなくなってきています。そういう意味で、この大学院で学んだことを十二分に発揮して頑張ってほしいと思います。
次に、留学生のみなさんにお願いしたいのですが、ぜひみなさんの母国と日本の架け橋になってほしいという事です。この2年間でみなさんは日本の国がどのような国であるか、あるいは日本人がどのような国民であるかという事を学ばれたことと思います。
大学院では、研究室に配属になり、研究室の専門技術を修得することも大事ですが、それ以上に、研究・開発を行っていく力、研究内容をきちんと文章化し分かりやすく説明する力、英語で技術に関する議論が出来る力等、総合的な技術開発力を身につけてほしいと思います。
いいかえると、自分の修得した技術以外の未知の技術にも挑戦していく意欲と問題解決する能力を身につけてほしいということです。
何故なら、変化のはげしい時代には、10年たてばほとんどの技術は陳腐化し、新しい技術が生まれてくるからです。高度な専門技術と同様に、未開拓の技術に挑戦する力をぜひ身につけてほしいと思います。
第3のお願いは、少し次元が低いお願いかもしれませんが、大切なことなので一言述べさせていただきます。
それは、人間関係の達人になるための技術の修得です。自然の生態系における共生関係の中には、競争、搾取の中に、利他Altruismという関係があります。これは、自分を犠牲にして相手のためにつくすという関係です。よく親鳥が自分は犠牲になってもひな鳥を守るという行動の中にこれをみることが出来ます。
Altruismとまではいかなくても、相手の事を考えて行動する事はよい人間関係を築く上で非常に大切なことです。また、これはお互いに協力して大きな仕事を進めていくための基本となる大事なことです。
みなさん、若いうちは将来への夢、希望、野心のために自分中心になりがちであり、またこれはこれで非常に重要なことですが、ちょっと、自分を客体化して、少し相手の立場に立って考えるという習慣も身につけてほしいと思います。
以上、いろいろな事を申し上げましたが、今後、情報生産システム研究科での充実した学生生活を送られることを期待して私の挨拶といたします。