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研究科長式辞
平澤 宏太郎 教授
(2007年9月学位授与式)
みなさんは早稲田大学大学院情報生産システム研究科の修士課程をこのたび修了されることになりました。今回が9月修了の第3回目の修了式です。Fコースの学生も含めて、修了生は全部で35名、そのうち留学生が33名います。
9月修了と3月修了を比較しますと、9月修了の学生の割合が増えておりますし、また留学生の比率も上昇しつつあります。
この事は、情報生産システム研究科が徐々に国際的大学院として認められるようになってきたことを示していいと思います。
今後とも、日本人と留学生の数がバランスのとれた、アジアのみならず世界に開かれた大学院を目指していきたいと考えております。
みなさんの2年間の大学院生活はいかがだったでしょうか。高度な専門知識を修得できたでしょうか、又、今後の社会生活の中で大変重要となってくる未開拓の分野に挑戦していく力を身につけていただけたでしょうか。あるいは、みずから新しいものをクリエートする喜びを経験していただけたでしょうか。
みなさんは早稲田大学大学院情報生産システム研究科での学生生活を通して、このような力を体得していただけたものと信じております。
さて、今回の修了生の中には、博士課程に進学する人達が11名おられますが、これらの方には、ぜひ世界に発進できるような研究を行っていただきたいと思っております。
世界の著名な学術雑誌に論文を投稿することも大変大事です。単に論文の数だけではなく、論文の質の向上にも挑戦して下さい。実は、私は大学人になる前、30年間ほど民間の電機メーカーの研究所に勤めていたのですが、その時、先進技術を模倣するのではなく、世界に発信できるユニークな技術・製品の研究・開発が企業の発展のためにいかに重要であるかを肌で学びました。
他人が開発した技術の模倣あるいは簡単な変更のみでは競い合ってはいけません。
今後、日本をはじめとするアジアの国々がglobalな大競争時代に競い合っていくためには、他の場所で研究された先進技術をブラッシュアップして価格性能比の高い製品をつくっていくだけでなく、苦しくても、みずから新しい技術を創造していく事が強く求められています。ぜひこのようなことを念頭において新しい技術の創造に努力してほしいと思います。
博士課程の学生の間にぜひ著名な国際学術論文誌に新しいアイディアを盛り込んだ論文を投稿していただきたいと思います。
次に実社会に出て行かれるみなさんにいくつかのコメントをさせていただきたいと思います。
まずはじめに、学校と実社会は基本的に異なるということです。それでも、20〜30年前の日本の場合、特に大企業の研究所の場合には、大学と似たような雰囲気がありました。入社してきた新人には社会人のイロハを組織的に学ばせる場もありましたし、また、オンザジョブを通して文章の書き方や研究の進め方をきめ細かく指導する先輩達が多数いました。なにより、入社したての若手に「何を研究開発するのか自分で考えなさい」、といった指導を行う余裕がありました。
しかし、グローバル大競争時代に直面した最近の企業は様子ががらっと変わってきています。大学で修得した技術や研究開発を推進していく力に対して給料を支払うというスタンスになり、先輩達からの手取り足取りのきめ細かな指導も期待できなくなってきています。そういう意味で、この大学院で学んだことを十二分に発揮して頑張ってほしいと思います。
次に、留学生のみなさんにお願いしたいのですが、ぜひみなさんの母国と日本の架け橋になってほしいという事です。この2年間でみなさんは日本の国がどのような国であるか、あるいは日本人がどのような国民であるかという事を学ばれたことと思います。
日本がみなさんにとって良い国であったことを期待していますが、場合によっては、必ずしも良い印象ばかりではなかったのではないかと少し心配しています。
しかし、悪かった点はご容赦いただいて、ぜひ良かった点を母国と日本との関係構築に生かしてほしいと思います。
第二次世界大戦以前は自国の経済は比較的独立していました。しかし、インターネットで世界中の出来事が瞬時に伝わる時代、開発・生産・物流が世界レベルで連動する時代には、お互いの国々の協力なくしては大きな発展は望めません。
先日、上海交通大学電子信息与電気工程学院と早稲田大学大学院情報生産システム研究科は、Gコースに関する学術交流に関する覚書に調印しましたが、その折、鄭学院長も米国だけでなく、今後は日本との交流を深めていきたいと話されていました。また、同様のことを台湾国立大学、韓国ソウル大学の先生方も話をされていました。
私ども早稲田大学大学院情報生産システム研究科も、今まで以上にアジアの国々の多くの大学と学生交流・共同研究などに関して交流を深めていく予定です。
日本で少なくとも1年間生活したみなさんは、母国と日本との架け橋に一番近い存在です。ぜひ、母国と日本との友好関係に努力していただきたいと思います。
以上、2、3コメントをさせていただきましたが、みなさんが素晴しい未来を築かれていく事を期待して挨拶にかえさせていただきます。
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